祈りの社 岩津天神

毎月25日合格祈願特別祈祷 1、15日病除・健康祈願特別祈祷

天神さん四季だより

神主さんの正装 浅沓(あさぐつ)

3月25日は例祭。今年も平安絵巻のような光景が展開されました。
神職さんも正装です。

この装束、気になります。なかでもついつい目が行くのが履物。
「不思議なカタチ。どうなっているの? 歩けるの?」
子どもの頃からずっと疑問でした。
おそらく「竹取物語」に感化されたのでしょう。

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これは浅沓(あさぐつ)といいます。靴ではありません。「沓」です。
見慣れない漢字ですが、そういえば「踏む」は「足」に「沓」ですね。
今日は若き神主・平林さんに解説していただくことが出来ました。


見せていただきました、人が履いていない状態の浅沓を、はじめて!
何かをくり貫いたよう。ふと、願掛け牛にも似ていると思ったり。
伸縮性はなく、甲の部分にクッションがあてがわれています。

「神事を行うときは必ず狩衣とセットで着用します。
会社員のスーツと革靴みたいなものですね」
サイズを表す単位は大・中・小。巫女さんの衣装もそうでしたっけ。

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「でも、なんだか歩きにくそう。走ったりできるんですか?」
「いやいや、履き心地いいですよ。ただし走ると割れてしまいますけどね」
"浅"がつくのは、さっと足を差し入れ、軽く履くから。
踵もあるし、スリッパや靴と比べて案外、機能的なのかも知れません。
粛々と速やかに神事を行うための、神職さんのパートナーなんですね。

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最上級品は一本の木をくり貫いた漆塗りで、中敷も織りの入った見事な設え。
もともと公家の装束で、形状は平安時代も今もほとんど変わらないそうです。
「竹取物語」の帝も履いていたはず。
何と、千年越しのファション・アイテムです。

「スミマセン、ちょっと履かせてもらえませんか?」
さすがに断られてしまいました。

(平成29年3月30日取材)

「祝・合格」 若者達よ、若竹のごとく、矢のごとく、キラキラすくすく真っ直ぐに

青空の爽やかな天神さんの石段で、的射矢(まといや)を手にした若い女性とすれ違いました。
真っ直ぐな眼差しと矢が、あまりにもマッチしすぎ。

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思わず声をかけると、志望大学に合格したことを御礼するために訪れたとか。
そうか今って、ちょうど合格発表シーズンなんですね。
でもちゃんと御礼にいらっしゃるんなんて、律儀ですねと申し上げると、
「ええ、ちょっと無理難題をお願いしたものですから」とお母さん、笑顔です。
「無理難題?」
難関大学に合格なさったそうです。おめでとうございます。

境内には、たわわに実るかのような合格御礼の絵馬。
「合格できました。ありがとう!」「これからも頑張ります」
初々しいなぁ。
若いカップルの「これだけの人が合格したんだね」という会話が聞こえます。
心のなかで「おめでとう!」とつぶやいていたことでしょう。

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水掛け牛のコーナーにお婆ちゃんと女子高生。耳元に大きな輪っかが揺れています。
「合格御礼に来た今日が、晴れて高校生になった日。だからイヤリングOKにしたんですよ」
さあ、水掛け牛に、何の願いをかけましょう?
合・学・癒・厄・縁・職の6本の柄杓の中から、選んだのは「縁(良縁)」。
「勉強の次は縁~!?」。お婆ちゃん、嬉しそうです。

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飛梅殿の前で、神職さんが作業をしてみえます。
境内の竹林でたった今、伐採したばかりの竹で、こいのぼりの用意をしてみえるのです。
辺りにいい香りが漂います。
「ほんの1~2時間で匂いが変わりますよ」
これは! 年に一回のチャンスに遭遇したということではないですか!
有難く切り口に顔をつけ、匂いを嗅がせていただきました。
青く旬な竹の香りです。

若者達の若竹のようなパワーを授かった、今日の天神さんのお散歩でした。

(平成29年3月20日取材)

梅曇り 天神さんの境内一面に、梅の花の色・香り

日差しに温もりを感じるようになってきました。
さあ、梅の花の出番です。天神さん梅見の季節、到来です。

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青空に映える梅もいい。しかし、この日は敢えて曇天を狙いました。
薄曇りの光に浮かぶ花と枝のシルエットが見たかったんです。
なんだか梅鑑賞マニアっぽくないですか?
「花曇り」という言葉がありますが、この場合の"花"はどうやら桜のこと。
では「梅曇り」という言葉を造語しましょう。

境内でまず迎えてくれるのは、手水舎の横のピンクの梅の花。
「いらっしゃいませ~」

頭上から梅の花の香を降り注いでくれます。梅シャワー。
居合わせた女性と「いい匂いですね~」と、話が弾みます。
「八重っぽいですね。一生懸命咲こうとしています。
目で楽しませ、香りで楽しませてくれて。有難いことです」

市外にお住まいのこの方は、久々に訪れた岡崎で、
待ち合わせまでの時間が空き、どう過ごそうか考えていたところ、
降りて来たかのように"天神さん!"と閃いたそうです。
「呼ばれた感じがしたの。来て、本当に良かった!」

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境内のあちこちにたたずむ梅の樹。
梅曇りに浮かぶシルエットは日本画か、和服の模様のようです。
どれ一つとして同じ枝振り、同じ花・色、同じ香りなし。

実は気になっていたツボミがあります。節分の折にみつけました。
一本のしだれ梅についたツボミのほとんどが単体なのに、
これだけ大きな集合体なんです。
どう咲くんでしょう。順番に? それともいっせいに?

ひそかに「my 蕾」と名付け、注目してきました。
節分の2月3日より少し膨らみ、色づいています。
これからですね。開花の様子、見逃しませんとも。

後日談:my蕾の成長を見たくてたまらず、翌日も訪れました。
青空のもと、紅色が濃くなり、少しほころんでいます。可愛らしい...。
日参してしまいそうです。
(平成29年2月20日取材)

岩津天満宮 梅の開花情報はこちら

南南東から北北西 水掛け牛君、今年の恵方へ方向転換

2月3日、節分祭。天神さんでは豆撒き神事と「恵方祭」が執り行われました。
恵方祭? 即座に「恵方巻を食べる祭?と」と想像した人も少なくないはず。
そもそも恵方とは何ぞや? ちょっと調べてみると、
歳徳神(としとくじん)という神様のおわす方角のこと。
今年は北北西においでになるということで、
これまで南南西を向いていた水掛け牛の方向を変えるお祭りなのです。
恵方巻を食べる日ではなかったんですね。


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境内には平日にも関わらずたくさんの参拝客。
「去年もこれ位の人出があったよ」と、ご婦人グループや、ご夫婦連れの会話が聞こえます。
皆さん、チェックしているんですね。
「トリ、かおうかな」「えっ、マジ~!」。キャッキャと女子高生。
小鳥でも飼うのかと思った私は浅はかでした(正しくは可愛い酉の小物をゲットするという意味であったかと)。

「鬼は外~!」
ちいちゃな女の子達が手のひらいっぱいの豆を、嬉しそうに見せてくれました。

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豆撒き終了後、「鬼さんどこ~?鬼が見たいの~」と境内を走り回る女の子。
「もう帰っちゃったよ」というお母さんに、
「いやいや、鬼さんに会いたい、会いたい~!」と駄々をこねています。
鬼が大好きなのだとか。この子にとって鬼はアイドル?
天神さんの豆撒きでは、鬼が赤ちゃんを抱っこしてくれます。
もしかしたらこの子も抱っこしてもらったのかも知れませんね。

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さあ恵方祭。曲水の庭の流れのほとりに、静かにたたずむ水掛け牛。
よく見ると台座に方位が刻まれています。水掛け牛は今、確かに南南西を向いています。
これを真逆の北北西に向けるわけですが、牛も台座も石製。重そうです。
かなりの重労働では? と見ていると、まるで水に流れるように、すんなりと方向転換しました。

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「今日までの恵方は南南東でしたが、明日から北北西に変わります」と宮司さん。
そうか! 節分とは季節の節目。明日は立春、新しい年の始まり。
恵方と節分、これまで意識したこともありませんでした。

水掛け牛は、願い事を唱えながら水をかけるとかなえてくれるそうです。
神事をじっとみつめていた坊やに「この牛さん、願いをかなえてくれるんだよ」と言うと、
真剣な表情でもにゃもにゃ唱え始めました。
「何をお願いしたの?」「DSがほしい」
もらえるといいね。
(平成29年2月3日取材)

※岩津天満宮「節分祭」についてはこちら

「初天神」 天神さんのお正月

「初天神」とは何ぞや? 初と天と神。字面がいいじゃないですか。
現も良さそうです。
ご利益にあやかろうと境内に登ると、そこには多くの参拝客。
家族連れや受験生や老夫婦の皆さんが、
屋台のタコ焼きをほおばり、牛君を撫で、梅の開花を予想し、
その光景はのどかで、ほんわりお正月ムードです。

ハッ! もしかしたら、今年初の天神さんということで、
「初天神」とは天神さんにとってのお正月、という位置付けなのかも?



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神楽殿では岩津神楽保存会の演奏に合わせ、巫女神楽が奉納されています。
鈴や扇を手に舞う少女達の美しい姿を収めようと、カメラマンも鈴なりに。
おや、 廊下の手摺越しに、静かに正座し出番を待つ少女の指先が動いています。
間もなく本番。きっと、舞のおさらいをしているんですね。
手摺の額縁を舞台に、指人形の上演中。



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太鼓が始まりました。岩津天神太鼓「凛」と、
お揃いのオレンジ色のTシャツが境内に映える「遊」の子ども達。
さっきまでワーワー、ギャーギャーと遊んでいたのに、
演奏に入るとその目は真剣そのもの。

今朝9時ジャスト、「あれ、遠くから何か聞こえる?」。
耳を澄ますと、どうやら太鼓の音色です。
きっとこの子達が叩いていたんですね。

(平成29年1月22日取材)