祈りの社 岩津天神

毎月25日合格祈願特別祈祷 1、15日病除・健康祈願特別祈祷

天神さん四季だより

梅鉢コレクション

梅鉢コレクション
花も実もないこの時季に、梅鉢満開とは愉快だな

「梅鉢」、日本古来の文様。愛らしいデザインで、女性に人気なのも頷けます。ハイ、わたしもその一人。
今日は梅鉢採集のために天神さんを訪れました。あちこちに意匠を凝らした梅鉢が百花繚乱。いずれも個性豊かで、本物(生もの)に負けない面構え。

■写真左:天狗鼻のように見える梅鉢。
■写真右:屋根の上におわす梅鉢は着物を着た道真公に見えます。

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■「なおらい」の中庭に、梅3姉妹発見。枝垂れ梅が満開の季節の様子を待受にしたら、ご利益ありそうです。

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■写真左:石灯籠めぐり。古い石灯籠に彫られた2種類の梅鉢が、デザインもタッチも違います。
別々の職人さんの手なるものでしょうか。
「相手方をチラッと見ながら『俺の方がいいもんね』と意識しながら彫ったにちがいない」と、
灯籠の廻りを何度もグルグル回るわたし。怪しいかも。
■写真右:古時計にも梅鉢が。

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■写真左:大屋根の裾にひるがえる梅鉢曲線。レース飾りとか、フリルのようにも見えます。
■写真右:おごそか。「威風堂々梅」と名付けました。



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■願掛け牛の群れが大量の梅味のオニギリに見えたのはまだ分かるとして、
美味しそうと唾を飲んだのは、我ながら妄想膨らみすぎです。

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(取材:平成28年10月20日)

去年の今夜

9月15日は「秋思祭」。

秋を思うおまつりとは風情があります。
仕事を終えた夜の9時。
ひっそりと静まりかえった境内から一人月を眺めよう、
何ともロマン溢れる時間ではないかと、
灯りの消えた参道の階段をカメラ片手に登りました。

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いくら田舎とは言え、現代社会はどこも明るいものです。
街灯もない暗闇を感覚だけでヒタヒタと登るのは、
野生動物にでもなったような気分で、かなり楽しいものです。
途中で見事にすっ転んだことは内緒にして。

「去年の今夜 清涼に侍す 秋思の詩篇 獨り斷腸
恩賜の御衣 今此に在り 捧持して毎日 餘香を拜す」

去年の今夜、清涼殿にて帝のおそばでお仕えしました。
「秋思」という題で詩をつくったこと、今では断腸の思いです。
帝から賜った御衣は今も捧げ持って、余香を拝しております。

これは、太宰府での道真公の気持ちをあらわした漢詩です。
御衣に残されたその人の香りで、帝を思う。
百人一首でも、文に焚きしめた香や着物の移り香など、
「香り」というのは大事なスパイス。
日本人にとって香りというのは昔から大事な要素だったのですね。
ふっと漂う風のかおりなど、
香りがきっかけで懐かしい記憶や懐かしい人の顔が蘇ることもあります。
思い出というのは頭の中だけじゃなく、
五感で感じて心に残るものだと常々思っていますが、
香りは、一番強く心に届くのかもしれませんね。

ふしぎで幻想的。夏の終わりの宵まつり

8月25日は岩津天満宮の献灯祭。

やっぱり日本人に似合うのは着物。
見た目も涼やかな浴衣姿で小粋におまつりに参加せねば。
ぐるぐる巻きの帯に心でグググ苦しいと悲鳴をあげつつも、
下駄をカランコロンと鳴らし遊びに行ってきました。

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行ってみて驚きました。
今の時代じゃないのですよ、ここは。
時代も空間もグニャリとタイムスリップして、日本昔ばなしの世界に迷いこんじゃったんじゃないかと。

すっかり日が暮れて夜の静寂がおりた天神さんのお山の長い参道は、
ちょうちんの白くぼんやりした灯りが連なり、
ちょうちんお化けが足下を照らしてくれてるよう。
えっちらおっちら、慣れない浴衣と下駄で境内にのぼると、何と言うことでしょう!

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何とまあ、驚きの幻想的な世界が広がっているではありませんか。
あらやだ、こんな近くに世界遺産が!と思うほど。
漆黒から紫のグラデーションに染まった宵の境内は、
ロウソクの炎がゆらゆら揺れる竹のぼんぼりで一面うめつくされて神秘的。
思わずボ〜ッと揺れる炎をいつまでも眺めてしまいます。
さすがゆらぎ1/f。炎って見ていると落ち着きますよね。

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浴衣姿の人も沢山います。
ぼんぼりの灯りに照らし出される浴衣姿のシルエット。いいものですねえ。
嬉しいことに、浴衣で訪れるとご祈祷と梅カルピスのサービスがあるようです。
ぜひ行くべきですよ、浴衣で。
境内ではビアガーデンに夏らしくボサノバのライブも。
皆さんビール片手にやきとり、枝豆と、わいわいがやがや楽しい声が夜の境内に響きます。

むんと暑く火照った空気。
ちょっと寂しい夏の終わり。ゆれるぼんぼりの灯り。遠くで響く笑い声。
日本の夏まつりの、楽しくもどこかちょっと切ない感じ。
これがまた日本の夏らしくていいではありませんか。ねえ。(平成28年8月25日取材)

岩津天満宮献灯祭についてはこちら

夏の朝の風景:清く掃く

夏休みド真ん中のこの日朝8時、天神さんでは神職さん達が掃除に勤しんでいました。
♪ザッザッザッ、オーシーツクツク
深い緑の杜の中に、竹ホウキとツクツクボウシが音曲を奏でます。
わたしが普段、ゼイゼイ言いながら登る長い石段に、白い装束の神職さん達が竹ホウキをかけているのです。
慣れた手さばき足さばき。リズミカル、ダンスのよう。
習慣として身に付いた動きとはまさにこのこと。
見上げると、高い石垣の柵の外の狭いスペースでも♪ザッザッザ。
「そ、そんな所まで掃くんですか!?」

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ホウキをかけられない苔や、玉砂利の落葉やゴミは、手で拾います。
植込みの下を覗き込み、砂利の底に指を伸ばし、表面に現れない部分まで丁寧に。
これを毎日!? しかも境内全スペース!? 天神さんの境内はかなり広いと思うのですが...。
「神様は、清浄・キレイな所を好まれますからね」と神職さんはにこやかに応えてくれましたが、紅葉・落葉の季節なんて一体どうなることやら...想像不可。

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拝殿では、力強く雑巾掛け。
かなりの樹齢と思しき大柱や床が磨かれ、光を放ちます。
見ていて心地良くなってきました。お手伝いしたくなってきました。
おかしい...。わたしは汚部屋住みの掃除大嫌い人間だというのに。

そういえば「清掃」って「清く掃く」なんだなぁ、と一人合点。
この光景を見るだけのために、また天神さんのお山に登りたくなってきました。
えっ、「その前に自分の部屋を何とかしろ」ですって?
ごもっとも...。(平成28年8月14日取材)

少年の心・青年の志 長七翁ワールド

7月18日(月) は、岩津天満宮中興の祖・服部長七翁の命日「長七忌」。
これに伴い資料展が開催されていました。
「長七たたき」の現物が大事に陳列されています。
こんな風に扱われるとは、さすがの翁も想像しなかったことでしょう。

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圧巻なのが「服部長七翁一代記画帳」。
全57ページ内に色紙大の絵が45枚、ずら〜っと並びます。
どの絵の構図もタッチも素敵。
これらによると、16才で豆腐屋を営んだ後、左官の技術を学び職人となり、醸造業に製酢に...
さらに、水の濾過装置を考案し、岡崎に夫婦橋を架け、広島県宇品港など国家的大プロジェクトを手掛け...。

「枚挙にいとまない」とはこのこと。
次々とアイデアが浮かんで仕方ない人だったのでしょう。
そして実行・実現に向けて動いている最中、楽しくて仕方なかったのではないでしょうか。
まるで図画工作に夢中になり没頭する少年のように。

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絵の中で特に気に入ったのは、水辺で腕を組み、視線を遠く向ける姿。
「青年よ、荒野を目指せ」。
帽子がダンディでお洒落です。展示されているのと同じかな?
説明書きに「広島縣宇品に築港を始む」とあります。
築港は明治13年(1880)、翁の生年は天保11年(1840)なので、40才ですか。
何才になっても青年の心を持ち続けたことが、この絵に表されているのです。

もう一つ、川で遊んでいる(ように見える)子ども達の図。
「幼童、川に㴞りたらす鰻責の為に救る。蓋し鰻を放生せし術となりとす」。
ウナギに救われたので瓶か何かで育てて恩返し?
それとも幼くしてウナギの養殖に成功?幼少時に!?

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久し振りに見ました、手形というものを。
「あやかりたい」と手を重ねたくなり、「でも直接触れてはならない」と、かざすに留まるのは人の常。
わたしも勿論、かざしました。



翁はこの岩津天満宮において80年の生涯を終えたとのこと。
こんなすごい人と同じ地に、わたしは親しんでいるんだなぁ...。
背筋を伸ばさねばなりませぬ。ピンッ!(平成28年7月16日取材)