祈りの社 岩津天神

毎月25日合格祈願特別祈祷 1、15日病除・健康祈願特別祈祷

天神さん四季だより

ふしぎで幻想的。夏の終わりの宵まつり

8月25日は岩津天満宮の献灯祭。

やっぱり日本人に似合うのは着物。
見た目も涼やかな浴衣姿で小粋におまつりに参加せねば。
ぐるぐる巻きの帯に心でグググ苦しいと悲鳴をあげつつも、
下駄をカランコロンと鳴らし遊びに行ってきました。

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行ってみて驚きました。
今の時代じゃないのですよ、ここは。
時代も空間もグニャリとタイムスリップして、日本昔ばなしの世界に迷いこんじゃったんじゃないかと。

すっかり日が暮れて夜の静寂がおりた天神さんのお山の長い参道は、
ちょうちんの白くぼんやりした灯りが連なり、
ちょうちんお化けが足下を照らしてくれてるよう。
えっちらおっちら、慣れない浴衣と下駄で境内にのぼると、何と言うことでしょう!

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何とまあ、驚きの幻想的な世界が広がっているではありませんか。
あらやだ、こんな近くに世界遺産が!と思うほど。
漆黒から紫のグラデーションに染まった宵の境内は、
ロウソクの炎がゆらゆら揺れる竹のぼんぼりで一面うめつくされて神秘的。
思わずボ〜ッと揺れる炎をいつまでも眺めてしまいます。
さすがゆらぎ1/f。炎って見ていると落ち着きますよね。

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浴衣姿の人も沢山います。
ぼんぼりの灯りに照らし出される浴衣姿のシルエット。いいものですねえ。
嬉しいことに、浴衣で訪れるとご祈祷と梅カルピスのサービスがあるようです。
ぜひ行くべきですよ、浴衣で。
境内ではビアガーデンに夏らしくボサノバのライブも。
皆さんビール片手にやきとり、枝豆と、わいわいがやがや楽しい声が夜の境内に響きます。

むんと暑く火照った空気。
ちょっと寂しい夏の終わり。ゆれるぼんぼりの灯り。遠くで響く笑い声。
日本の夏まつりの、楽しくもどこかちょっと切ない感じ。
これがまた日本の夏らしくていいではありませんか。ねえ。(平成28年8月25日取材)

岩津天満宮献灯祭についてはこちら

夏の朝の風景:清く掃く

夏休みド真ん中のこの日朝8時、天神さんでは神職さん達が掃除に勤しんでいました。
♪ザッザッザッ、オーシーツクツク
深い緑の杜の中に、竹ホウキとツクツクボウシが音曲を奏でます。
わたしが普段、ゼイゼイ言いながら登る長い石段に、白い装束の神職さん達が竹ホウキをかけているのです。
慣れた手さばき足さばき。リズミカル、ダンスのよう。
習慣として身に付いた動きとはまさにこのこと。
見上げると、高い石垣の柵の外の狭いスペースでも♪ザッザッザ。
「そ、そんな所まで掃くんですか!?」

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ホウキをかけられない苔や、玉砂利の落葉やゴミは、手で拾います。
植込みの下を覗き込み、砂利の底に指を伸ばし、表面に現れない部分まで丁寧に。
これを毎日!? しかも境内全スペース!? 天神さんの境内はかなり広いと思うのですが...。
「神様は、清浄・キレイな所を好まれますからね」と神職さんはにこやかに応えてくれましたが、紅葉・落葉の季節なんて一体どうなることやら...想像不可。

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拝殿では、力強く雑巾掛け。
かなりの樹齢と思しき大柱や床が磨かれ、光を放ちます。
見ていて心地良くなってきました。お手伝いしたくなってきました。
おかしい...。わたしは汚部屋住みの掃除大嫌い人間だというのに。

そういえば「清掃」って「清く掃く」なんだなぁ、と一人合点。
この光景を見るだけのために、また天神さんのお山に登りたくなってきました。
えっ、「その前に自分の部屋を何とかしろ」ですって?
ごもっとも...。(平成28年8月14日取材)

少年の心・青年の志 長七翁ワールド

7月18日(月) は、岩津天満宮中興の祖・服部長七翁の命日「長七忌」。
これに伴い資料展が開催されていました。
「長七たたき」の現物が大事に陳列されています。
こんな風に扱われるとは、さすがの翁も想像しなかったことでしょう。

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圧巻なのが「服部長七翁一代記画帳」。
全57ページ内に色紙大の絵が45枚、ずら〜っと並びます。
どの絵の構図もタッチも素敵。
これらによると、16才で豆腐屋を営んだ後、左官の技術を学び職人となり、醸造業に製酢に...
さらに、水の濾過装置を考案し、岡崎に夫婦橋を架け、広島県宇品港など国家的大プロジェクトを手掛け...。

「枚挙にいとまない」とはこのこと。
次々とアイデアが浮かんで仕方ない人だったのでしょう。
そして実行・実現に向けて動いている最中、楽しくて仕方なかったのではないでしょうか。
まるで図画工作に夢中になり没頭する少年のように。

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絵の中で特に気に入ったのは、水辺で腕を組み、視線を遠く向ける姿。
「青年よ、荒野を目指せ」。
帽子がダンディでお洒落です。展示されているのと同じかな?
説明書きに「広島縣宇品に築港を始む」とあります。
築港は明治13年(1880)、翁の生年は天保11年(1840)なので、40才ですか。
何才になっても青年の心を持ち続けたことが、この絵に表されているのです。

もう一つ、川で遊んでいる(ように見える)子ども達の図。
「幼童、川に㴞りたらす鰻責の為に救る。蓋し鰻を放生せし術となりとす」。
ウナギに救われたので瓶か何かで育てて恩返し?
それとも幼くしてウナギの養殖に成功?幼少時に!?

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久し振りに見ました、手形というものを。
「あやかりたい」と手を重ねたくなり、「でも直接触れてはならない」と、かざすに留まるのは人の常。
わたしも勿論、かざしました。



翁はこの岩津天満宮において80年の生涯を終えたとのこと。
こんなすごい人と同じ地に、わたしは親しんでいるんだなぁ...。
背筋を伸ばさねばなりませぬ。ピンッ!(平成28年7月16日取材)

年に一度の願い事の日:七夕祭り

本日、天神さんの拝殿は、五色のスカーフをまとっています。
♪さ~さ~の葉 さーらさら~♪
拝殿前に設置された笹と五色の短冊が、さらさらと風になびきます。
「今日の装い、なかなかお洒落でしょ?」と微笑んでいるかのようです。

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短冊に書かれた「願い」。多くは子どもたちの手になるもの。
鉛筆の下書きの跡が見えます。イラストが描かれています。
一生懸命書いたんだろうなぁ...。
シールが貼ってあります。願いを叶えてもらいたくて、飛び切り大事なものを選んだことでしょう。
「○○になりたい」「○○がほしいです」「○○ちゃんと仲良くなれますように」。
ピュアな願いのオンパレード。一枚一枚が子ども達の分身、生命が宿ります。

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大人たちの短冊の多くを占めるのは、「家族の幸せ」「健康」の文字。
人間、さまざまな欲求があるけど、突き詰めるところ「幸せ・健康・仲良し」なのかも知れないなぁ
...などと感じ入ってしまいました。

特設の記入コーナーで、坊やが怖い顔をして短冊と向き合っています。
願いがいっぱいありすぎて決められない様子。
「ほら、ほしいものは?夢は?なりたいものは?」と傍らでお母さん。坊やの顔つきが一層険しくなります。
思わず「お庭を歩いて、ゆっくり考えてみたら?」と提案したところ、表情も崩さずコーナーを出ていきました。
あの子、結局なんて書いたのかしら?(7月1日取材)

夏をくぐる

天神さんのお山に登ると、空がだんだん高く見えてくるんですよね。不思議。
岩津商店街からワキに入って石の鳥居をくぐり、のんびり九十九折りの坂や石段を昇っていくうち、もしかしたら空に近付いた分だけ、青さが、風が雲が間近く感じられるからかも知れません。

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今日はその天神山の空に、茅(チガヤ)の穂がなびきました。
そのもとにはドッシリと大きな「茅の輪(ちのわ)」。
直径3m以上あるでしょうか。
太く括った茅の輪をくぐる「夏越の祓い(なごしのはらい)」という神事がとり行われたのです。

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梅雨どきとは思えない爽やかな空気の境内を、白装束の神主さんに続き、参拝者が粛々と茅の輪をくぐります。
職員さん手作りのチガヤの短冊を手に、ぐるりと三周、三回くぐり。
その間、「唱え(となえ)」を行います。
つまりは唄なんですが、まずは宮司さん、それに続いて参拝者も合わせて唄い始めます。

水無月の夏越の祓いする人は
千歳の命延ぶと云ふなり

シンプルで素朴、しかし深さを感じさせるメロディ。
静かに、しかし朗々と響く唄声。
岩津さんと皆さんの間に、こうして何年も唄い継がれてきたのかしら。
美しい......。不覚にも私、涙してしまいました。

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さて茅の輪、見た目の印象より太くて、またぐときは心せねばなりません。
そういえばバリアフリーが当たり前の昨今、"またぐ"いう行為自体が少なくなっていますものね。
赤いズボンの小さな坊や。
きっと心の中で「エイヤッ」と気合いを入れたことでしょう。
そして他の大人達と同じように、くぐった瞬間、何か不思議な瞬間を味わったかも。
何、これ? 言葉で表現するのは難しいなぁ。
清らかなものが降り注いでくるような、力が漲ってくるような。
輪っかの向こうに鎮座する願掛け撫で牛も、微笑みながら見守ってくれているようです。
(平成28年6月26日取材)

岩津天満宮 夏越しの祓いについてはこちら