• 平成15年10月1日・通巻第96号

「眞相箱」の呪縛を解く

一年前に発刊された櫻井よしこ著「GHQ作成の情報操作書『眞相箱』の呪縛を解く」という文庫本を紹介したいと思います。
戦後の占領政策の一環として、GHQが企画演出したラジオ番組が、昭和20年12月から日曜の午後八時のゴールデンタイムの30分間を中心に、NHKラジオ第一・第二で同時放送されました。
この番組はその後、名称と体裁を少しずつ変えながら、昭和23年1月まで3年間続けられました。

このラジオ番組の台本をまとめ、昭和21年8月25日に連合国最高司令官民間情報教育局が発行したものが『眞相箱』なのです。内容はズバリ、悪しき国日本の悪しき戦争が語られ、米国から見た太平洋戦争(大東亜戦争)観を日本人が書いたかのような体裁を整えて、日本人に読ませ、浸透させようとしたものでした。
櫻井よしこ女史はこの「『眞相箱』の呪縛を解く」で、「敗戦直後の占領下の日本で、戦前戦中の悉くが否定され、そんな時代に『眞相箱』が放送、出版された。いずれも日本を否定し米国を正義と位置づける構造。その先に出現したのが現在の日本の姿。米国の対日再教育、洗脳と言うべき検閲と情報操作によって、私たちの考え方や価値観は、無意識のうちに日本断罪の影を引いている。現在の日本を見ると、GHQが当時目指した、日本を再び米国に立ち向かえないような国にするという目的は、当初の狙いよりも遙かに完璧に達成された。日本は精神の自立を半ば失いつつある。
これこそ敗戦直後の米国の厳しい言論統制、日本人再教育の見えない強制によって創り出された。」と指摘し「この虚構から自身を自由にするには、戦後すぐに日本国民に仕掛けられた罠、つまり言論統制、検閲、再教育、日本の歴史の否定、伝統文化の陵辱、価値の破壊、憲法の押しつけなどを認識し、その罠の中に隠されてしまった事実を掘り起こしていくしかない。それは新たな日本発見であり、呪縛からの解放である。」と結んでいます。

私は昭和23年の生まれですから、もちろんこのラジオ放送やこの本の記憶はありませんが、その後学校やテレビ放送などで、この歴史観を刷り込まれてきたことは今でも記憶に残っています。
学校で、昔の日本は悪いことをした、悪い国だったと一方的に教えられる子供たちの意識の中に、悪しき国祖国日本のイメージがじわじわと染み込んでいくと思うと、戦慄さえ感じます。
様々な虚構を払拭し、日本人としての誇りや自信を恢復し、次代に伝えて行くための良書だと思います。是非ご一読をお勧めいたします。

 

  • 平成15年7月1日・通巻第95号

岩津天神「病気平癒」の信仰

岩津天満宮御神忌千百年大祭の記念誌が、このほど上梓の運びとなりました。千百年大祭の神事行事とともに、大正時代以降の岩津天満宮の略史を、写真で紹介しております。
当社は永い歴史を有する神社からすれば、歴史も新しく誇れるものもありませんが、数多くのご崇敬の人々の信仰に支えられて、今日のご社頭の賑わいがあると思います。

一天俄にかき曇り、大地を揺るがすばかりの雷鳴が轟き渡り、瑞雲たなびく天神山に一条の雷光とともに、芭蕉の葉に乗った菅公のご神霊が降臨されたのが岩津天神の起こりという信仰譚が伝えられています。
社伝に、徳川の先祖松平3代信光が建立した信光明寺、第22世の一誉上人が、将軍拝賀の途次病に罹り、里人の勧めで芭蕉天神(荏柄山天満宮)に心中祈願、病忽ちに癒え、無事出府年賀を済ます。上人感激して帰途鎌倉の荏柄天満宮に奉賽参拝し、ご分霊を勧請、境内の観音堂に祀る。その後菅公の霊夢「我を四辺眺望の地に祀るべし」を受け、後方山頂の現在地に社殿を建造創祀、時に宝暦9年(1759)なり。とあります。
それから信光明寺の手により、社殿の改築、石段、参籠堂の建立、石鳥居、唐門造営などが行われ、上人の病を平癒したことから疝癪、脱腸、下の病平癒のご利益ありと、三河、尾張、遠州などへ信仰を広めて参りました。

明治の制度改めにより、信光明寺の管理から、神社として岩津の村の管理となりました。明治19年11月の火災により建物は烏有に帰し、翌年社殿復旧するもその後境内の荒れるを痛み、三河地方を布教しておられた、越中立山法主大阿闍梨鑁禪大和尚が、碧南新川の服部長七に支援を依頼、その後社殿を再建、大正7年に菅公千年祭を斎行しました。その後数々のご造営を経て、今日の佇まいを見るに至ったのであります。

昭和の40年代より学業成就、受験合格の祈願がとみに増え、それまで多かった脱腸平癒のご祈願も日を追って少なくなりました。岩津天満宮に奉職した昭和45年当時はまだ、境内中央の撫で牛の後ろに、お礼参りに持参した脱腸帯が山のように積まれていたことをよく覚えています。
疝癪、脱腸、下の病だけでなく、自国に誇りと自信を失った現代日本人の心の病をも、岩津天神のご利益で癒えさせることができれば、これほど嬉しいことはありません。
岩津天満宮の信仰の原点と、御祭神菅原道真公の「和魂漢才」のご精神を今一度見つめ直し、真の日本人としての覚醒の契機としたい思います。

 

  • 平成15年4月1日・通巻第94号

「いのち」を伝えるために

二〇年ほど前蜜月の関係だったアメリカとイラクは、今まさに戦争状態に入ろうとしています。この号が発刊される頃には米英軍はイラクに対しどのような戦いを展開しているのでしょうか。
戦後教育を受けた私どもは、二一世紀には間違いなく戦争もない平和な時代がやってくると、学校で教えられました。平和憲法を守ってさえいれば、世界には決して戦争は起きないと信じ込まされ、今まだ理屈だけの平和教育が日本の学校で行われていますが、そんな夢を打ち砕くような現実が、今私どもの目の前に展開しようとしています。

そんな今、一つの大きな流れが、世界のそして日本の文明の将来を大きく左右する可能性が高い事を、心に刻んでおかなければなりません。それは米英ロシアをはじめとする西洋先進諸国と日本の歯止めのきかない少子化、それに対しアジア、アフリカ、ラテンアメリカの人口爆発であります。
日本では平成に入ってから出生率が下がり始め、国の人口を維持していくのに必要な出生率の三分の二に満たない程であります。欧米諸国と同じように、日本の女性が子供をほしがらなくなったのはなぜなのでしょうか。
国民生活白書によりますと、女性の半数以上が子供を「負担」と、結婚を「自由の制限」と考えていると報告しています。特に女性のパラサイトシングルが増える傾向にあるようですし、社会的には男女の枠組みを取り外そうとする「ジェンダーフリー」の思想が、行政や地方自治体などで男女平等参画社会を実現する目的で条例化され、否応なしに浸透してきています。「ジェンダーフリーの考え方は、素直に湧き上がる母性を理性で抑え込む危険性をはらんでいる」と指摘される方もいらっしゃるように、まさに少子化の原因の一つになっているような気がします。

高齢化と少子化で若年人口が極端に減少する中で、将来、国の経済を維持するために生産者人口を獲得するには、他国からの移民を受け入れざるを得ない状況がみえてきます。現在日本には、不法入国者も含めて外国人の数は年々増加しています。この先この傾向が極端に増えることになれば、日本の伝統文化・文明に大きな変化、若しくは危機をもたらすであろうことは、想像に難くありません。

神様のお恵みを得て、先祖から受け継いだ「いのち」を、間違いなく子孫に残すことが、人として生きる大きな目的でもあります。私どもは、神様ご先祖様に今活かされていることに感謝しつつ、これらの問題にもっと関心を持つことが今必要なのであります。