
- 平成14年5月1日・通巻第90号
御神忌千百年大祭をご奉仕を終えて
岩津天満宮の御祭神菅原道真公が延喜三年二月二十五日、西海の筑紫の国大宰府で神上がられましてより千百年の春秋が巡って参りました。
岩津天満宮の歴史は二百五十年ほどではありますが、江戸時代から尾張、三河、遠州など、多くのご崇敬をいただいてまいりました。明治の始めには病弱であった子供の頃の豊田佐吉翁が母親に強く勧められ、岩津天満宮まで歩いて参拝に見えておられます。また岩津天満宮の中興の祖、碧南新川の出身の人造石の発明者服部長七翁も岩津天満宮に厚い崇敬を寄せてこられました。
今の岩津天満宮はこのような皆様の厚いご崇敬に支えられ、今日に至っております。
去る三月二十五日には、三河一宮砥鹿神社高谷宮司様に献幣使として御参向いただき、御来賓として愛知県神社庁長、熱田神宮小串宮司様を始めとする各界各層の皆様の御参列を賜り、百年に一度の大祭り岩津天満宮御神忌千百年大祭を、滞りなくご奉仕を終えることが出来ましたこと、洵に有り難く厚く御礼申し上げます。
また御神忌千百年大祭を執り行うにあたりましては、多くの皆様の尊い御奉賛と暖かい御協力、並びに数々の奉納行事を賜りましたこと、洵に有り難く重ねて厚く御礼申し上げます。
お陰様にて記念事業の手水舎、花崗石製の神牛も立派に竣功出来、全国著名の天満宮より賜った梅の植樹も終え、あとは十一月に千百年大祭記念碑の建立を残すのみとなりました。
菅原道真公は常に公(国家・皇室)を思い、正直・誠心即ち至誠を貫き通されました。さらには日本の主体性を保ちつつ、外来の文化を積極的に取り入れ、在来の文化と融合をはかりながら日本的に昇華させ、新しい独自の文化を創り出す「和魂漢才」のご精神を身を以て実践されてこられました。
現代人が個人を偏重するあまり公を忘れ、今の日本の混乱と自信の喪失を招いていると思います。祖先が悠久の歴史を通して伝えて参りました「いのち」に、今生かされていることに謙虚に感謝しつつ、御神忌千百年大祭を契機に、日本文化を見直し、今後、数々の記念行事を通して菅公の正直・誠心と「和魂漢才」ご精神を今の世に広く知らしめ、日本人としての誇りと自信を恢復する機会とすることができれば、洵に幸いに存じます。
更なる多くのご崇敬の皆様のお力を頂きながら、百年に一度の記念すべき大祭を、一年間に亘って、最後まで恙なく立派にご奉仕できますことを念願しつつご挨拶といたします。
- 平成14年1月1日・通巻第89号
岩津天満宮御神忌千百年大祭 ―伝えたい明日に「いのち」と「日本の心」―
新年あけましておめでとうございます。昨年師走一日には皇孫妃殿下、敬宮愛子内親王が御誕生になり、国民には待ち望んだ慶事だけに平成十四年に大きな希望を持たれていることと思います。
さて、本年はご祭神菅原道真公が神去られましてより、丁度千百年の記念すべき年に当たります。昌泰四年(九〇一)一月二十五日、左大臣藤原時平の讒言(ざんげん)により、右大臣の栄位から太宰権帥(だざいごんのそち)に左遷、筑紫の国太宰府に流謫の身になられ、延喜三年(九〇三)二月二十五日、無実の罪の晴れぬまま、御歳五十九歳の波乱に満ちたご生涯を終えられました。
道真公は日本古来の文化を大切にしながらも、海外の文化を積極的に取り入れようとなさいました。その御事績やお人柄は「和魂漢才」の語に象徴されるように、天神信仰として庶民の生活に大きく関わり、我が国の伝統文化や、学問・教育に大きな影響を及ぼして今日に至りました。
梅や菊の花を日本の花として育て上げたように、日本人は主体性を保ちつつ、外来の文化を積極的に取り入れ、在来の文化と融合をはかりながら、日本的に昇華させ、新しい独自の文化を創り出して来たのです。
日本は瑞穂の国といわれ、米作りが即ち国造りの中心でありました。人智の及ばぬ自然の力を「かみ」とあがめ、米の収穫を祈り、感謝し、米で醸した「酒」を供え、神まつり、国造りを行って参りました。そこに存する誠に尊いものが「日本の心」であり、「いのち」であります。
私どもは、祖先が悠久の歴史を通して伝えて参りました「いのち」に、今生かされていることに、決して傲らず、感謝して生きなければなりません。
岩津天満宮におきましてはご祭神菅原道真公の正直・誠心のご神徳と、菅公のご精神であります「和魂漢才」を仰ぎ、三月二十五日に御神忌千百年大祭を斎行し、併せて数々の奉祝行事や記念事業を執り行って参ります。
御神忌千百年大祭を通し、酒をこよなく愛された道真公の「和魂漢才」のご精神と共に、私どもの先祖が悠久の時の流れの中で醸し出して参りました日本文化を見直し、「日本の心」と「いのち」を感じとり、いまを生きる私共の、日本人としての誇りと自信を恢復するよすがとすることができれば、洵に幸いに存じます。
多くの皆様のお力を頂きながら、百年に一度の記念すべき大祭を、恙なく立派にご奉仕できますことを念願しつつご挨拶といたします。
- 平成13年10月1日・通巻第88号
今に生きる日本精神
台湾からの交換留学生を、縁あってしばらく預かることになりました。まだほとんど日本語の話せない高校1年の彼は、台北市の隣の桃園縣亀山市からやってきました。
片言の英語と漢字の筆談で、意志の疎通を図っていましたが、ある日「小林善紀」を知っているかと尋ねられ、どうやら「ゴーマニズム宣言」を書いた「小林よしのり」著「台湾論」のことだとわかりました。
日本に続き台湾で出版された「台湾論」は、台湾の歴史を紹介し、それを以て、日本人と台湾人にそれぞれの国民としての主体性を問う内容でしたが、日本統治時代の慰安婦の記述が台湾で問題にされ、著者の小林氏は台湾入境禁止とされました。新聞などで若干の報道がありましたの、ご記憶の方も多いと思います。そして、この留学生は日本で学ぶべきことを父親から言われて来たというのです。一瞬我が耳を疑いました。拝金主義の蔓延する日本で、金儲けの秘訣でもと思いきや、日本の武士道精神を学んできなさいと言われたというのです。
台湾については、対中問題を抱え、民主化の波の中で学歴重視、経済至上主義程度の知識しか持ち合わせていなかったことを、今は恥じる思いです。国民党の李登輝総統の民主化政策により、4年前から歴史教科書が変わり、以前の残虐・侵略的という反日教科書から、日本統治時代の善政を正当に評価する教科書に変わりました。少数派の外省人がマスコミのほとんどを握る台湾で、国民党の過去の圧政に口を閉ざしていた国民が民主化の流れの中で、堂々と発言できる時代が来たのかとも思いました。そして今、日本人が失いかけている大切なこころ、日本精神がまだ台湾に生きていると言うことを教えられたのです。
それに引き替え、日本の歴史教科書の検定、そして選定の課程での、多数派裏工作の激しさは、これが本当に民主主義を標榜する国のできごとかと疑うほどであります。教育の重要性はさこそと、思い知らされました。
世界を震撼させた米国テロ事件は、いま日本をも巻き込み、大きな局面を迎えようとしています。世界に向けてとらねばならない日本の態度は、如何にあるべきでしょうか。こんな時にこそ必要なのが、今日本人が忘れかけようとしている日本精神であると思います。
